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ものづくりの国 日本 prologue

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ものづくりの国 日本 prologue

日本の部品メーカーが少なくなってきました。
機械部品も電気部品も。儲からないから続かないのです。部品メーカーの商売は薄利な割に責任が重く、100万個に一個でも不良品を出せば、ユーザーである完成品メーカーは徹底的な調査と是正処置を求めてきます。不具合を発生させたのだから当たり前のことなんですが、その厳格で非合理的な日本企業の品質管理は私の知る先進国の中で突出、例を見ない。

そもそも、部品商売の量が昭和の時代と違い少なくなってきたので、部品メーカーとしては商売のうまみが減ってきたとうい事情があります。そのような状況下で、金型の更新、材料費の値上がり、規格認定試験(電気)の費用などで原価が上がると日本の部品メーカーは嫌気がさし、製造中止(ディスコン)や廃業をするのです。余裕のある中規模以上の企業は、海外に工場を移転しコストを下げて事業継続を図ることもできますが、零細や中小企業はそうはいきません。首尾よく工場を外国に移転できたとしても、製造ノウハウはその国に漏れる。程度の差はありますが時間の問題で染み出ていくものです。そのノウハウで一度コピー品ができてしまうと日本のメーカーはお役御免、事業継続不可、The End となるのです。

このようにして日本の部品メーカーはノウハウと一緒に次第に国内から消えていっています。その結果、「ものづくりの国、日本」は徐々に自国だけで完成品を作れない国になってきました。日本を代表する世界ブランドの電機メーカーでさえ、電気部品製造から徐々に撤退しています。

90年代から始まったこの空洞化は30年に及ぶボディーブローとなって日本の製造業の体力を奪ってきました。ある完成品メーカーの設計担当者は「ディスコンのための対策費用は設計費用全体の3割を占めている」と嘆いていました。でもその3割のコストは、部品メーカーに対する硬直的な品質管理のツケがブーメランとなって完成品メーカーに返ってきたものとも言えます。

 

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