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ダムは巨大なBCP装置(5) 観光資源

ダムはセンチメンタルな観光資源
人はダムを美しいと思うから見に行くんです。わざわざ山奥まで。
その工学的な機能美がいい。人工的な巨大な土木建造物が雨水を貯め、ダム湖を作る。エッジの効いた人工湖は大自然と調和して神秘的です。ダム湖の水の色が時間とともに変わるのもいい。色の変化は太陽光と水に溶けた鉱物成分の反射によるものらしいけど、正確には解明されていないそうです。
野鳥の鳴き声はダム湖の空間で共鳴し、ダムのコンクリート堤体で反射して響く。まるで巨大なオーディオ装置のようです。また、ダムの近くには温泉や鉱泉が多い。山深いのでゴルフコースも少なく、手つかずの自然が美しい。蕎麦やうどんが美味しい所も多く、観光価値は高いと思います。外国にはあまりない、総合力で魅せる観光資源なんです。インバウンド目当てのぺコンペコンの観光地より、よほど洗練されています。
今、ダムに来る人は多い。ダム湖に沈んだ自分の家や卒業した小学校を思い出しながら見に来る人もいるのでしょう。ダムがもともとの自然環境を壊したことは明らかです。蛍が見られた川もあったでしょう。村も移転し途絶えた伝統や文化もあったでしょう。しかし今、ダムが現代社会の人の暮らしを維持し、また生命・財産を守っているプロテクターであることも厳然とした事実です。毎年の台風による豪雨がそれを証明していることは皮肉なことです。