継続可能な生活

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ナイチンゲールはどこ行った(3/3)

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ナイチンゲールはどこ行った(3/3)

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更なる検査が必要という段階に入ったが運悪く私がいる病棟内にコロナが蔓延した。そのため私は離れた所にある検査棟に移動できなくなった。
コロナの蔓延が落ち着き検査棟に移動できるまで入院を続けるか、または他の病院でもっと検査設備が整った所に転院するか、選択を
迫られた。私は転院を選んだ。検査のこともあったが、他の病院に行けばナイチンゲールに会えるかも知れないとも思った。

退院の日、身のまわりの荷物を両手に持ってナースステーションを通り病棟を出た。ナースステーションを通り過ぎる時、挨拶をしようと
足を止めたが、その雰囲気はなかった。重い荷物を持って廊下をゆっくり歩いていく私と妻を誰も気に留めることはなかった。
24日間の入院生活が一旦、終わった。

帰り道、ドン・キホーテの話を思い出した。彼は騎士道を重んじ、世の中の不条理に立ち向かった。良い悪いは別として行動に移した。
挑んだその相手は巨大な風車だった。風車とは巨大な慣性で回り続ける大きな組織。風刺だと思った。

ナイチンゲールになれないのは今の看護師たちの責任じゃないとも思った。彼ら彼女らは最初、大志をもって看護師という職業を選んだはずだ。
その志を毎日、少しづつ蝕んでいったのは病院という巨大な組織なのだろう。

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