resilience
世襲
上場していない会社でも資金潤沢で代々世襲で成り立っている会社は沢山ある。いや、むしろ、優良会社で資金の心配がないから上場する必要のない会社、あるいは会社を大きくしたくないコンパクトな優良企業は日本に沢山ある。しかし、世襲故に社員がやる気をなくす会社もまた、沢山ある。
A社の場合:
現在の社長は三代目。穏やかだがカリスマ性がある。社長には二人の息子がいて、それぞれ父親の会社の要職についている。長男が次期社長に就任する予定。次男は専務か。
一次卸の商社であるA社、潤沢な在庫を持っている。オイルショックの時は某電気メーカーの減産による品不足をA社の在庫でサプライチェーンを支えた。商社がメーカーの供給不足を支えたのだ。
社長が主催する年に数回ある会社行事には多くの社員が休日にもかかわらず参加している。
B社の場合:
現在の三代目社長は二代目(父親)から若くして引き継いだ。父親の会社では営業として働いたが、その期間は10年もなく経験不足は否めない。父親とはあまり仲が良くなかったせいか、社長の帝王学を学ぼうとしなかった。この会社も一次卸の商社。潤沢な資金を背景に在庫は豊富、客先は大手企業が多く代理店を通さない直販主体のため粗利が非常に高い。いわゆる優良企業だが、これが災いしてか三代目社長は苦労知らず。取り巻き(役員)はイエスマンを揃え、社長に対して反対意見が言えない役員会を作った。人事は社長とお気に入りの役員で決められる。年配の社員は失望し去っていく者も多い。
C社の場合:
現在の社長は二代目だが、すでに社長の息子が部長職を務め会社を盛り上げている。二代目は一代目社長の急逝により急遽、社長職を引き継いだため、社長の帝王学は学べなかった。二代目は業界筋の会合にはよく参加し社交的だが、肝心の自分の会社の業務には詳しくない。その分、息子が頑張っていて、次期社長として社員に認知されている。現社長はいい人だが、指導者としての資質は低く社員はそれを分かっている。息子もそのことを知っているが父である社長に対し「俺がやるからオヤジ、辞めてくれ」とは言えない。