locomotion
優しいエンジンの音
観光ガイドには登場しない小さな町を歩いてみた。
雨が降っている。その町に人影はない。
シャッターを下ろした洋品店。しばらく歩くと玄関先に一つ置かれたプランター。花はない。
石畳の路地を覗くと真ん中が少しくぼみ、雨水を溜めている。
長い年月に摩耗したその表面から住んでいる人の足音が聞こえてくる。
しばらく歩いていると軽自動車が一台、通り過ぎた。この町は生きている。未来につながる優しいエンジンの音だった。
このまま残って欲しいと思った。