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全自動工場の罠
同じ物を大量に安く作るために工場の自動化は欠かせない。材料を製造ラインの入口に放り込めば完成品が出口から出て来る。工程の中に多少の人の手は入るが生産性は手動より格段に上がる。これが自動化工場。
全自動工場とはこの「多少の人の手」を完全になくした工場のこと(諸定義あり)。言い換えると「人に状態の判断させない製造ライン」ということ。生産性の極値が狙える。
夢のような工場だが、その導入にはリスクがあることを忘れてはならない。
工程に人の監視や判断をさせないため非常に多くの計測・監視システムが存在しセンサーや論理回路の数は膨大。また、それらが正常に作動しているかの監視のため別のセンサーも必要。それらを統合・制御するソフトウェアは巨大で全部のシステムを構築するのに1年はかかる。その後、試作品を流して検証するのに数か月。合計すると2年位はかかることも。2年の間に世の中は変わり、その全自動化はすでに陳腐化している可能性が高い。動き出した生産ラインに不具合が起こったら(必ず起きる)一番上流の工程から検証が必要な場合もある。問題が複雑すぎて不具合の原因が誰にも分からないということも珍しくない。