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旅館業はパッケージ(1) 重すぎる おもてなし

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旅館業はパッケージ(1) 重すぎる おもてなし

キャリーバッグ

キャリーバッグ

おもてなしが重すぎる

チェックインするとスタッフが荷物を持って部屋まで案内してくれる宿は多いです。客が高齢者であれば別だけど、この「おもてなし」は要らないと思うことがあります。特に最近はスタッフが年配者の場合も多く、客が手ぶらでその後をついて行く光景には違和感があります。客にキャリーバッグを引きずられて館内の床を汚されたくないということなら、「引きずらないで」と丁寧に言えば理解される話。「部屋まで案内」のついでに館内や避難経路の案内もできるので、というのであればチェックインの時、紙ベースで説明してもらえば事足ります。

旅館業はサービス業だけど、同時に設備産業でもあるんです。財務のポートフォリオは製造業に似ていて固定費が高く変動費は低い。つまり、部屋の稼働率は工場で言うと生産ラインの稼働率と考えることもできます。だからその運営と管理には経験豊富なリソース(人)が必須です。何やらドライな話になったけど旅館業は事業である以上、利益を出すことが大前提。「おもてなし」はその後です。客としても過度のサービスより十分に手入れされた清潔な部屋や館内で過ごせることが第一の価値です。

わざわざ部屋に来ての女将やスタッフの挨拶はどうなのか。昭和後期や平成生まれの人たちが心地いいと思うでしょうか。重くないですか。やり過ぎではないですか。その時間があるならサービスを簡素に洗練させ、設備を磨き上げる時間に使ったらどうでしょうか。勿論、そのおもてなしが売りでやっていける高級旅館はそれでいいのですが、それを他の宿がベンチマークにする必要はないのです。

フランスの地方都市。小さなホテル(プチホテル)に行くと、チェックインは相当、ドライ、あっさりしています。でも館内には絵画や季節の花が飾られ、シンプルで洗練されています。ベタベタした接客はないけれど困った時は相談に乗ってくれ、対応は十分に親切です。これも立派な「おもてなし」です。

 

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