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気前のいい技術供与

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気前のいい技術供与

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日本人は自動車を作ることが大好きな国民だ。自動車を作る機械(産業機械や工作機械)を作る人たちは、仕事に没頭する。その機械の部品を作る人たちも魂を込めて部品製造に専念する。世界一の精度と品質で。
その影響で、その部品に使う材料を作る人たちも魂を込めて働く。働く。
日本全国、このサプライチェーンに携わる人たちは一丸となって働く。働かざるを得ない。
カメラも複写機も医療器械も建設機械も鉄道も車も金属を削って作る製品なので性能や品質で世界一になった。
他の国では到底作れない素晴らしい製品だと皆、思っていた。
でも最近、それは少し違うなと分かってきた。他の国でもそれなりに安く作れるようになったからだ。

振り返ること30年。日本は気前よく、他国に「技術供与」という名目でノウハウを提供していた。
長い歴史のある鋳物技術がいい例。外国にその製造技術を性善説で伝授していた。それから10年もしない内に他国に真似をされ、結果、日本の鋳物産業は価格競争で負けて急激に衰退、廃業した会社は多かった。得意の工作機械や産業機械の筐体(ボディ)になる鋳物が国内で十分作れなくなり産業競争力は急激に落ち込んだ。

「世界一の精度と品質で」はロケット産業では通用するがコモディティでは足を引っ張る。

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