resilience
電柱に頼る癖 電気料金
分かっちゃいるけど止められない。電柱に頼る癖
災害が甚大だと必ず起こること。それは電源喪失です。
その極致だったのが阪神・淡路大震災と東日本大震災(3.11)。最近では2019年、台風15号と19号の暴風雨による鉄塔や電柱(電信柱含む)の倒壊で電源喪失した房総半島。医療・介護の停滞、電気・ガス・水・交通・通信などインフラが遮断。エアコンが止まり熱中症。保冷庫が止まり薬剤廃棄。冷蔵庫が止まり食料廃棄。信号機が止まり道路は大渋滞。事業の中断や生活困難、生命の危険が長期間発生しました。でも電気が通っていれば防げたことは多かった。
電気(電力と信号)はBCP(Business Continuity Planning=事業継続計画)の重要な担い手です。でも、この大切なインフラを私たちは脆弱な電柱に頼っています。だから日本は電線類の地中化が急がれているわけですが他の先進国と比べて、その普及率は桁違いに低い。遅れている理由がコストです。地中化には電柱工事の10倍、あるいは20倍のコストがかかると言われています。将来それが電気料金にも跳ね返るということです。それでは今の日本の電気料金は世界的に安いのかといえば、高い。電気料金単体で比べると日本はドイツの約2倍です。
災害が多く道の狭い日本に電柱があり、災害が少なく道が広いイギリスやドイツは電線地中化が整っています。同じ値段の電線でも地中に埋設されたものは空中の電線より価値が高い。地中化された電線は社会資本減耗が低く(傷みが少なく寿命が長い)、社会資本価値が高いからです。
毎年、地中化工事で消えていく電柱があります。でも新設される電柱の方が多いので、日本の電柱はこれからも増え続けていくのでしょう。