resilience
電柱に頼る癖 EV
電信柱、電柱、そして自転車がなければ、なかなかお洒落な建物だと思います。(写真)
街の中の大気を汚さないということでEV(電気自動車)の普及には賛成です。停電時でも強力な電源として活躍するからです。でも、電柱のことを考えるとちょっと複雑です。
おおよその話ですが、EVを家庭の駐車場でバッテリーが空(カラ)の状態から満充電(100%充電)するには一般家庭一戸の電気使用量の2.3日分に相当します。一戸の月当たりの電力量を400kWhとすると一日当たり13kWh(=400kWh÷30日)の電力量。EVの搭載バッテリーの容量を30kWhと仮定すると、30kWh÷13kWh=2.3。つまり2.3日分の電気ということになります。
バッテリーの価格が下がりEVユーザーが増え、沢山のEVやPHEVがこの普通充電を戸建ての家庭で始めたら、電柱は車のエネルギー供給という今まで以上に重要な役割を担います。そうすると電柱の安定性のことが心配になるのです。台風のリスクがあるからです。昨年(2019年)の台風で千葉県では2,000本もの電柱が倒れたのです。強風により隣接する樹木が電柱を倒したケースもありました。電柱の設計強度は風速40m/s。最近の台風の風速は瞬間で50m/sを超えることもあります。この厳しい気象状況下で電柱に電気自動車の充電を安心して託していいのかと心配です。
家庭でいざという時のために電柱に頼らない代替エネルギーを少しは用意しておきましょう。携帯ソーラーパネル、バッテリー、携帯ガスボンベ、ローソクなど。要するにキャンプ用品ですね。
一方、別の見方をすると脆弱な電柱で停電のリスクがある国だからこそ、いざという時、家庭が所有するEVの巨大バッテリーは役に立つとも言えます。満充電のEVバッテリーは計算上、2日分の電気を蓄えているのですから。これはパラドックスです。