継続可能な生活

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ナイチンゲールはどこ行った(3/3)

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ナイチンゲールはどこ行った(3/3)

最終話

7) 看護の原型
更なる検査が必要という段階に入ったが運悪く私がいる病棟内にコロナが蔓延した。そのため私は離れた所にある検査棟に移動できなくなった。 コロナの蔓延が落ち着き検査棟に移動できる日まで、このまま入院を続けるか、または他の病院でもっと検査設備が整った大学病院に転院するか、選択を迫られた。私は転院を選んだ。検査のこともあったが他の病院に行けば看護の原型(ナイチンゲール)に会えるかも知れないとも思った。

8) 大きな荷物
退院の日、身のまわりの荷物を両手に持ってナースステーションを通り病棟を出た。ナースステーションを通り過ぎる時、挨拶をしようと立ち止まったが、声を掛ける雰囲気ではなかった。大きな荷物を抱え廊下をゆっくり歩く。通り過ぎていく私と妻を、看護師の誰も気に留めなかった。24日間の入院生活が一旦、終わった。寂しくもあり、悔しくもあり、嬉しくもあった。

9) 劣化する大志
病院からの帰り道、ドン・キホーテの話を思い出した。彼は騎士道を重んじ、世の中の不条理に立ち向かった。正しかったかどうかは分からない。ただ、行動した。彼が挑んだのは巨大な風車だった。風車は、止めようとしても止まらない。巨大な慣性で回り続ける。この病院もまた、そうした風車のように慣性で回された巨大な装置に思えた。ナイチンゲールになれないのは、いまの看護師たちの責任ではない。彼ら彼女らは、最初はきっと大志を抱いていた。その志を少しずつ劣化させていくのは、個人ではなく、医療機関の構造なのだろう。
私の気持ちは、すでに転院先の大学病院に向かっていた。ナイチンゲールに会えると思った。

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