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ドレスコードは空気を作る
私のコンサル時代、オフィスは新宿の高層ビル52階にありました。昼の12時になると会議を切り上げ、一斉にエレベーターに走ります。出遅れるとランチ難民になるか、込み合う社員食堂行きになってしまうからです。
エレベーターで1階に下るのみ、なのですが途中階でランチ難民になりたくない人たちが沢山、エレベーターに乗ってきます。ある途中階でジャケットやジーンズのカジュアルな恰好をした人たち(日本人)が乗って来るフロアがありました。それはアメリカの会社でした。当時、私たちのドレスコード(服装の規則)はダークスーツに白ワイシャツだったので、アメリカの会社のその恰好を見て「あれで会社の風紀が乱れないのだろうか」とよく思ったものです。
あれから15年経ちました。思い返してみると、あの時の私たちの会議は、全員同じようなダークスーツを着て、同じような白いワイシャツを着て、社長の意向に沿う発言をして、社長によって結論が導かれる会議ではなかったかと思うのです。熱い意見の衝突はあったのかと、今、振り返るのです。
ところでそのアメリカの会社、今はGAFAの一員になりました。カジュアルな服装が会社の自由闊達な空気を作り、それがあの先進的な製品とサービスを生んでいるのではないかと、最近、思うのです。
日本の自動車部品メーカーの商談フロアはいつも数百人の訪問者でいっぱいです。彼らは同じようなスーツを着て、規律正しく行儀がいいです。迎えるメーカーの皆さんも同じユニフォームを着て、礼儀正しいです。いったい、この昭和から続く私たちの同調化した様態はいつ変わるのでしょうか。このような人たちで、世界に通用する車が作れるのでしょうか。ジーンズにTシャツのビジネスマンはいつ、日本に出現するのだろう。